ポルシェを買いたいなと思ったときに検討する車種は何でしょうか。やはり911でしょうか。
しかし、911は996型や997前期型の中古販売価格が上昇傾向でお買い得感が薄くなっているのが事実です。
そんな状況下でも実は987のケイマンとボクスターは価格もお手頃に推移しています。
お手頃なのにはウラがあるんじゃないかと思いがちですがスポーツカーとしての大きな欠点は無く、まさに今が非常にお買い得な時期といえます。
販売価格がお手頃な割に年式も古すぎないので購入後のリスクも少なく、初めて乗るポルシェとしては996型の911などよりも987型ケイマン/ボクスターの方が優れているといえるでしょう。
今回は近頃注目度が高まりつつあるポルシェの987ケイマン/ボクスターについておすすめな点を紹介します。「ボクスターとケイマンいいじゃん!」と少しでも思ってもらえれば幸いです。
987ケイマン/ボクスターがおすすめな理由
- クルマの完成度・コンディションに対して中古販売価格が安く推移している
- ポルシェのデザインエッセンスを持ちつつも911よりも先進的な外見
- 気軽に乗りたい人もガチで走りたい人もどちらも満足させる2つのグレードの設定
- 現代的な装備も多数(オプション次第)
- 6気筒エンジンでポルシェの音
- エンジンパワーがちょうどいい
- ミドシップエンジンによりクセがない走りでバランスの良さは911以上
- 大きくないボディサイズ
- ベースグレードは排気量やタイヤサイズが小さく維持しやすい
などなど、良いところがたくさんあります。
反対に悪いところ・考慮すべき点としては
- 完全な2シーターのため緊急時にも3人以上は乗せられない
- ボクスターは911より荷物が乗らないかも
- 四駆の設定は無し
- 987は前期・中期・後期があって分かりにくい
という点が挙げられます。
そもそも987ケイマン/ボクスターについて軽く説明
まず、ケイマンとボクスターという異なる2車種が存在します。
そして、987というのがケイマンとボクスターの共通した車両の型式になります。ちなみに三桁の数字の最後の一桁が「7」であることからポルシェ911の997型と同世代ということがわかります。
987はケイマンとしては初代、ボクスターとしては2代目のモデルとなります。
ボクスターには986とよばれる先代モデルが存在します。ちょっとややこしい。
ケイマンとボクスターはどちらもMR(ミドシップエンジンリアドライブ)でエンジンが車体の中央、つまり運転席のすぐ後ろに積み込まれているスポーツカーです。
両車の最も大きな違いは外見からもわかる通り、ケイマンがハードトップをもつ非オープンモデルであるのに対しボクスターは格納式のソフトトップを持つオープンモデルになります。
ボクスターはケイマンと比較してボディ剛性が構造上どうしても不足するのでそれを考慮してか5~15馬力程度最高出力を落とした設定となっています。
ケイマンはスペック上は劣っていますが屋根が開閉するという魅力はそれなりにありますのでトータルの商品力として劣っているわけではありません。
スポーティに走れるケイマンと、気持ちよく走れるボクスターといった大まかなコンセプトがあります。
エンジンパワーがちょうどいい
ボクスター | ボクスターS | ケイマン | ケイマンS | |
---|---|---|---|---|
前期 最高出力 [ps]@[rpm] | 240@6400 | 280@6200 | 245@6500 | 295@6250 |
後期 最高出力 [ps]@[rpm] | 255@6400 | 310@6250(直噴) | 265@7200 | 320@6250(直噴) |
987にはベースグレードとSの2つの主要グレードが存在します。
ベースグレードであれば単純に「ケイマン」や「ボクスター」という車名で呼ばれ、「S」であれば「ケイマンS」や「ボクスターS」という具合に呼ばれています。
どちらのグレードも水平対向6気筒エンジンを搭載しているのでいい音がでます(ここ重要)。
ベースグレードは250馬力周辺のちょうどいい馬力です。
ちょうどいいと言っても決して少ないわけではありません。
色々なスポーツカーに乗ってきた方は少し物足りないかも知れませんが、大抵の方にとっては250馬力も有れば十分に速いです。街乗りで常にアクセル全開で走りっぱなしなような方以外は。
そして危険なほど速いかと言われるとそうではない。
スポーツカーの速さ・楽しさを味わいつつも危険性は出来るだけ排除した設定になっているように感じます。
一方で「S」は300馬力周辺の設定。
後期ケイマンSに至ってはエンジンの直噴化もあり320馬力を発揮します。
996カレラ後期型で320馬力、997カレラ前期型で325馬力となっていたのでそれと同等のパワーを持ちます。
しかもMRのパッケージ。
つまりバランスが良く軽い車体をもつので、996・997前期世代の911よりも運動性能が高いことを示唆しています。
後期型ではPDK搭載でより走りに磨きがかかります。
実際にサーキットで走らせてみたらそれらの世代の911カレラよりもケイマンSの方が速いでしょうね。
ミドシップエンジンによりクセがなくバランスの取れた走り
ケイマン/ボクスターはMRなのでRRの911と比べて前後重量バランスが適正化されています。
そのためハンドルを切っただけ曲がっていく感覚が911よりも優れており、なおかつリアがブレイクしてオーバーステア状態になったとしても911ほど唐突な挙動は出ません。
ケイマン・ボクスターはよりエンジン搭載位置のおかげでよりマイルドな動きを手に入れています。
そして軽量・軽快な動きと操作感を持ち合わせています。
911のもつフロントがぴょこぴょこ跳ねるような動き(細かいピッチング)も無く、安心感のあるステアリングインフォメーションが持ち味です。
911も楽しいクルマではありますが911とは違ったスポーツカーの楽しみがケイマン・ボクスターにはあります。
ボディサイズがコンパクト
987のケイマン・ボクスターは全幅が1800mmです。
超コンパクトというわけではないですが現代のクルマの基準からすると扱いやすいサイズです。
色々なシチュエーションで4つのタイヤがこれから通る位置を把握しやすく、初心者の方でもすれ違いしたり、駐車したりするときなど車両の状況を把握しやすいです。
公道を走る上ではコンパクトサイズは武器になりますが実はスポーティーな走りをする上でも大きな武器になります。
車両の状況・タイヤの位置を把握しやすいということは道幅いっぱいまで道路を使えるようになるということになります。
道幅をいっぱい使えるというのはサーキットでも公道でも上手い運転をする第一歩なのでその助けになります。
ベースグレードは維持費を抑えやすい
987のボクスターとケイマンはともに後期型のベースグレードで2.9リッターほどの排気量です。(Sでは3.4リッターほど)
ベースグレードであれば毎年かかる税金も3.6リッターの911よりは2クラス安い区分になります。
また、タイヤサイズはベースグレードで前205/55ZR17・後235/50ZR17、Sで前235/40ZR18・後265/40ZR18となっています。
ベースグレードでは17インチタイヤでリヤタイヤの235幅が標準なのでなかなか良心的なサイズ設定です。
タイヤ交換の時の出費は少なくできますし、いい銘柄のタイヤも履きやすくなります。
初めてのスポーツカーで出費をできるだけ抑えたいならベースグレードも賢い選択ですよね。
では中古相場はどれくらいなの?
987はこれだけいいクルマにもかかわらず300万円周辺で比較的低走行なものが狙えます。
高止まり気味な911シリーズに比べて中古販売価格はとてもリーズナブルです。
ベースグレードでは前期型のATが250万円から、後期型のPDKモデルでも320万円くらいから狙えます。
しかも距離も5〜6万キロのものが多く見られまだまだ走れそうです。
MTも選べ、べらぼうに高くもありません。ただ球数は少ないので気に入ったものが出てくるまでは待つ必要があるかもしれません。
総合的にみて、987ケイマン/ボクスターはコンディションが良いものが比較的低価格で選べる状態と言えますのでポルシェに乗ってみたいとお考えの方には非常におすすめしやすい状況になっています。
結局はどれがいいの?
前期型も後期型の価格差がそれほど無く、ベースグレードとSの価格差もそれほどありません。
選び方としては
- 走りの高性能を楽しみたいならS
- 日常使い・ドライブもたくさん楽しみたいならベースグレード
- 屋根ありなしはお好みで
と言ったところでしょうか。
Sを買っておけば全てにおいてベースグレードよりも優れているというわけではありません。
気軽さはベースグレードの方が上ですし、Sがもつ必要以上のパワーやタイヤサイズは経済性が下がります。
日常使いから高速道路移動までの使用範囲でベースグレードでも動力性能に不満を感じることはないでしょう。
それ以上の何かを求めるのであればSを選びましょう。
自分の用途をよく想像してみてから選ばれることをおすすめします。
基本的にはどれも素敵なクルマですが、ATを選ぶならPDKが搭載されたモデルをおすすめします。
おすすめな理由としては
- PDK搭載モデルは年式が新しい
- PDKの賢くてダイレクトな変速
- 後期型のSは直噴エンジンで信頼性と燃費の良さがアップ
- ケイマンSならば911カレラに迫る性能
というところが挙げられます。
エンジンパワーが向上しつつも価格差も前期型と比べてそれほどないので後期型のPDK搭載モデルをおすすめします。
MTが欲しい方は後期型が理想ですが前期・後期型ともに希少なのでビビっと来るものがあれば積極的に狙いましょう。
また、しれっと書きましたが後期型のSはエンジンが直噴化されています。
ということは発生確率こそ低いですが、911の996や997前期で起こったインタミ問題とは無縁なエンジンとなっています。
少しでも心配を減らして乗りたいのであれば後期のSは十分に検討されるべきだと思います。
350万円くらいの中古販売同価格帯のポルシェとして911の996型も視野に入ってきますのでそちらと迷われる方も多いと思います。
確かに996はポルシェが誇る代表車種の911なので居住性や走りのGT(グランドツアラー)としての素質は上です。
しかし996はすでに20年前のクルマ。色々なところにヤレが出ている頃です。
走りに関係する部分、そうでない部分どちらにも大小の故障が出てもおかしくはありません。
それならば、故障の心配が少ない987ケイマン/ボクスターをわたくしフジシマはおすすめしたいです。
といいつつ、996も間違いなくいいクルマなので本当に乗ってみたい方は躊躇わずそちらに行かれることをおすすめします。
比較的落ち着いた価格で推移している911については以下で紹介しています。
悪いところについて
ここまで良いところを挙げてきましたが、悪いところが全く無いのかと言われたら無いわけではありません。
4WDモデルがなかったりするのも若干デメリットです。
一番のデメリットになりうるのは完全な2シーターであること
です。
では完全な2シーターなケイマン/ボクスターであると何が悪いのかというと以下です。
- リクライニングがほぼできない
- 荷物の積載量が少ない
- エンジンが近い
主に快適性が犠牲になります。
これが問題になるのは長距離の移動の時です。
少し仮眠をしたい時などにリクライニングできません。
リクライニングできないからと言って寝れないわけでは無いのではありませんが寝心地に影響します。
積載量については2+2シーターのクーペなどと比べても若干少ないです。
しかし、めちゃくちゃ少ないわけではありません。
ボクスターはリアとフロントに荷物スペースが分かれています。MRレイアウトのおかげでフロントにも荷物が置けます。
ケイマンはボクスター同様のフロントのスペースに加えてそしてシートバック付近からリアセクションにかけて浅くて広いスペースがあります。つまりエンジン上のスペースにも荷物が置けます。
ケイマンには多少の細長いものが積み込めるので積載性としてはこちらの方がやや上です。
フロントのボンネットには買い物カゴが余裕で入るくらいの広さと「深さ」があります。スーツケースも小型のものであれば2つ、中くらいのものは1つ入り、空いたスペースには形の変わるボストンバッグなどであればまだ入れられます。2、3日の旅行程度で有れば問題になることはないでしょう。
私の997は987とほぼ同一のフロントトランクの形状を持ちます。ペットボトル飲料水2L×6本と500ml×24本の段ボール箱を積み込んでも前と左右、上方向にもまだ荷物が入る余地があります。
おそらく半分以上スペースは余裕で空いています。
この積載量で日常使いにおいて荷物スペースが足らなくなることはほぼないでしょう。
ただ,
他の一般的なクルマと比較するとどうしても少ないという感じはします。
それと、悪いところになるかは微妙ですが、MRレイアウトなのでエンジンが近く、音が良く聞こえます。
人によってはご褒美かもしれませんがうるさすぎるのは嫌ですよね。ここは個人の感覚かと思います。
まとめ:987ケイマン/ボクスターはいいクルマなので手を出すならお早めに!
今回はポルシェ987ケイマン/ボクスターの良さについて書きました。
年式が古すぎず現代的な装備・走行性能を持ちながらも非常にお買い得となっている987。
エントリーポルシェとして比較的手に入れやすい価格で推移しているもののベースグレードの趣味のクルマとしての面白さ、「S」の走りのクルマとしての実力はそれぞれ本物です。
それぞれのモデルが高い品質と緻密なマーケティングの上に世の中に送り出されているので自分の用途に合うグレード、車種の987を選ぶことができれば満足のいくポルシェライフをスタートさせられることでしょう。
ここ数年は下落傾向が続き、現在も手に入れやすい価格で推移していますが今後は近い将来に新車のケイマン/ボクスターは完全に電動化される方針です。
シリーズの電動化を見越した中古車価格の上昇もありうる状況となってきました。
ポルシェのスポーツカーに乗ってみたい!と思われた方は早めに探し始めることをオススメします。
皆様が理想のポルシェを見つけられることを願っています!
余談ですがポルシェはオプションやカラーリングが色々あるので毎日中古車サイトを眺めて違いを知るのも楽しいですよ。
では。
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