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ポルシェ911に期待しすぎると裏切られる?

年収300万円のひとりごと
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こんにちは。最近ブログ更新頻度が低下しているポルシェ乗りのフジシマです。

今回はなんだか不穏そうなタイトルです。

ここ1,2か月の話ですが、最近、水冷911の、とりわけ997がもつ価値観に「合わない」という方がいらっしゃることを知りました。

997のどんな価値観に「合わない」かというと、どうやら具体的には「運転の楽しさ」「スポーツ性」に物足りなさを感じたようです。

ポルシェ911は「運転の楽しさ」や「スポーツ性」が世界中のクルマで頂点のようなとらえ方をされがちですが、実はそんなことはないのです。

特に「軽く、ひらりひらりと操り感のあるスポーティーさ」を極限まで求める方々の期待に応えることは911でも難しいことがあります。

そこで今回は世間的にはポルシェ911は偉大である!快適で楽しいスポーツカー!などと手放しでもてはやされがちですが実際のところはどうなのかを911に3年ほど乗っている者として述べてみたいと思います。

また、スポーツ性を語るついでに快適性についても一部述べております。

911が「合わない」と感じる人は確かにいる

最近聞こえてきたのはいずれも水冷911以外のポルシェに既にお乗りの方のご意見でした。

事例1:ボクスターから911に乗り換えたが…?

ボクスターに乗っている人が911を買った数週間後(おそらく2週間後くらい)にまたボクスターを買い直したという方がいました。

詳細は不明ですが、911納車時からセダンのような操作感(本人談)に疑問をお持ちのようだったそうでそれが拭い切れずにスピード破局となってしまいました。

事例2:代車で997を借りたが…?

その方はもともと空冷ポルシェに乗られている方でしたが997に乗る機会があったそうです。

はじめは、雨でも乗れるスタビリティの高さなどに関心を示していらっしゃいました。

しかし、だんだんと不満な点が見えてきたのか「3分で飽きた」や「空冷ポルシェに共通することなど1つも無い」といったニュアンス(あくまでニュアンス!)と、意見が厳しいものにかわってしまいました。

なぜ彼らは裏切られたのか

この2つの例は「911に裏切られた」方々の例です。なぜこのようなことが起きてしまうのか。

ポルシェという会社が現代で考える「いい911」と一部コアなファンの方々が考える「いい911」には差があります。

一部のコアなファンの方々はスポーティな走りが(かなり)好きであるということが共通していらっしゃるようです。

しかし、いくら911といえども走りに全振りした車作りでは現代においては競争力を失ってしまいますのでそのようなクルマ作りは通常はしません。

つまり、世界中に幅広い顧客が存在する現代911は走り好きだけに向けた911にはなっていないということです。

そこを理解できていないままに期待をしてしまうと裏切られたような感覚になってしまうのではないかと予想しました。

では、どんな要素を期待しすぎると裏切られる可能性があるのか思いつくことを紹介してみたいと思います。

過度なスポーツ性は期待してはいけない

ポルシェ911は60年以上スポーツカーの代名詞と言われてきたクルマです。それだけに運転していて楽しいスポーツカーだと思われがちです。でも私はそれでは少し短絡的な解釈かと思います。

スポーツカーの楽しみとえば意のままに、そして軽やかに操れるような楽しみが想像されるわけです。

しかし911は意のままに操ることはできても、「軽やかに」操ることはできません。

絶対的な速さは持ちつつも決して軽い操作感ではなく、何か重大なことをしているような味付けが各操作系統に施されています。

軽やかな操作感やレスポンスの良い操作感に一定のスポーツ性が宿るのは確かですが、911はそのような操作感にあえてしないようにしている気がします。

911はGT的な要素が強いクルマで、操る楽しさは二の次なクルマなのです。

GTとは:グランドツアラーといい、遠く離れた目的地に向かって着実にそして素早く到着できる高性能な自動車のことです。

ポルシェは耐久レースで勝利してきた耐久王です。

遠くの目的地に最終的に早く到着できるクルマ造りを理解していて、わかりやすいスポーツ性の演出は長時間の運転では疲労感につながることも理解しています。

そのため「カレラ」などでは一番売れ筋でベーシックなグレードということもあり、スポーツ性をフィーチャーしすぎないようにしてあります。

絶対的な速さも持ち合わせているのですが普段はそれを予感させる演出は少なめということです。

普段から「スポーツカーに乗ってる感」を運転操作からバシバシ味わいたい人には物足りなく感じるかもしれません。

911は飛ばせばもちろん速いですが、よりレスポンシブなスポーツ性を感じさせる乗り味が好みの人にはボクスター/ケイマンが用意されています。

水冷911はこれら兄弟車の登場もあり、空冷時代よりもさらにGTとしての味つけをなされるようになりました。

ジェントルな振る舞いは実は苦手

これ以降は、スポーツ性以外の「裏切り」について書いていきます。

スポーツ性がほどほどなので、ジェントルなのかというとそうでもありません。

かわいい見た目からは想像がつきにくいかもしれませんが911はジェントルな振る舞いは苦手です。

一番は音です。一昔前の改造車のような大きな音が純正状態でします。

ポルシェが好きな人からしてみれば改造車の音と同一視されるのは癪に障るでしょうが、興味のない人からしてみればほぼ同じです。

フォーマルな場面でジェントルに乗りこなしたいという方にとってはポルシェは最適ではないかもしれません。

悪い意味で目立ちすぎる可能性があります。

積載性・快適性は小さなストレスはあるかも

積載性と快適性についても過度に期待してはいけない気を付けるべき要素です。

積載性

巷では「フロントに大き目のトランクがあって、後席に座席があるので荷物が詰めて日常使いも難なくこなす」みたいな論調があります。

日常使いができないことはないのですが「難なく」といわれると疑問です。

フロントトランクはそれなりに大きさはあるものの深さのある形状によって荷物を持ち上げないと出し入れできません。

腰に爆弾を抱えている人にとってはつらい体勢になりがちで、そのような体制がツラい方にとってはフロントトランクは無用の長物になるかもしれません。

トランクは室内とは当然つながっていないので長尺物を積むのは苦手です。

リアシートの背もたれ前方に倒すことができますが倒したところで広大なスペースを確保できるような拡張性もありません。

少量の荷物であれば不便さはさほどの不便さは感じませんが荷物が増えるほど不便さは際立ってきます。

工夫をすれば荷物が多くても積載することは可能ですが、後部座席に「とりあえず放り込んでおく」ような気軽な使い方はできないのでそこは気にするべきでしょう。

乗り心地

このブログではたびたび申し上げている点ではありますが、乗り心地は良くありません。

皆様はジャーナリストが「乗り心地いいっていってるじゃん」と思いますが、半分正解で半分はそうではありません。

正確には「ハードに走れるクルマにしては快適」という表現がより近いと思います。

街中でもある程度の段差やうねりはやり過ごしてくれますが大きなものになってくるとそのスポーティーな乗り心地を隠し切れなくなってきます。

許容範囲内の衝撃・振動であれば問題ないのですが、ひとたび範囲外に足を踏み入れてしまうと途端に快適な乗り心地が失われてしまう印象があります。

後席

後席のスペースに関しても同じ2ドアの車種でもFRのクーペの方が足元・頭上のどちらのスペースにおいても広くとれます。

大人を後席に乗車させることは基本的にはできません。

他社から販売されているFR(フロントエンジン)のクーペであれば後席スペースも広々としているものがありますし、トランクスルー昨日も備わっていて荷物スペースも効率よく広く取れます。

まとめ:どういう人にポルシェ911はおすすめか

911の評価が下がるようなことを書いてきましたが、それでも911は依然として人気の車種であり続けています。

結論としておすすめできるのは以下のようなところに当てはまる方だと思います。

  • 911にあこがれている方
  • 機敏に操れるスポーツカーに今現在乗っていない方
  • 日常と非日常を行き来したい方
  • ある程度の快適さと実用性があれば十分な方

911は誰もが認める素晴らしい車なのですがだからと言って実際に乗った全員が満足できるかというとそうではありません。

このことはどんなクルマについてもいえることですが、911が神格化されるがあまりその当たり前の事実を忘れがちな気もします。

911に乗るうえで大切なのは憧れを持っていることです。

「スポーツカーの代名詞なのでとりあえず911」みたいなか買い方をするとそれほど快適でもなく、スポーティーさも格別には感じられない不便な2ドアクーペがガレージにやってきます。

911並みのスポーティーさを持ちながらも実用的なクルマは他にもあります。BMWのMシリーズなど。

それでも不便で、快適じゃなく、軽やかなスポーティさはなくとも911だけが持つ世界があります。

色々な要素はバランスさせつつ、「スポーツ性」と「非日常」のスパイスが少し効かせてあるというのが現代911の世界です。GT3でもなければその2つの要素に全振りした車ではないのです。

その世界を十分に理解されたのであれば十分にお勧めできます。

ぜひ1度その世界を味わってみていただきたいと思います。

では。

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