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ポルシェ911の世代別トラブルを調べてみた

ポルシェ
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ポルシェ911をこれから検討する方にとっては中古・新車を問わずにトラブルが気になるところです。

ポルシェ911は1997年のモデルチェンジによりそれまでの空冷エンジンから水冷エンジンへと移行しました。

年代を経ることにより新しい技術が投入されてきましたがそれに伴って新しいトラブルが出てきた経緯も持ちます。

そこで今回は、996から991までの世代ごとに一般的に報告されているトラブルについて解説し、その対策についても少し紹介するブログを書いてみます。

996 (1997–2004)

ポルシェ996は、水冷式エンジンを初めて採用した911として知られています。しかし、初代であるがゆえにいくつか注意すべき点が挙げられます。

1. IMSベアリングの故障
インターミディエイトシャフト(IMS)ベアリングの破損が最も恐れられている問題です。
ベアリングが壊れると金属片がエンジン内部に拡散し、オイルラインを詰まらせエンジンブローの原因となり得ます。予防策としてはより耐久性の高いベアリングへの交換が推奨されます。

2. 6番シリンダー問題(シリンダー摩耗、ボアスコアリング)
熱を持ちやすいエンジン構造によってオイルの潤滑が追いつかずピストンとシリンダーが接触して傷が入ってしまいます。排気管の片側が黒ずんだり、アイドリング時にガラガラ音やタッピング音が症状として現れることがあります。

3. クーラントの漏れ(エキスパンションタンク)
リザーバータンクとも言います。
プラスチック製のタンク(部品番号:99610615704)が経年劣化でひび割れて漏れが発生しやすくなります。
エンジンルーム向かって左側奥に白い箱(劣化していれば黄色く黄ばんでいる)から冷却水が漏れ出します。
冷却水の甘い匂いがしたり、駐車場の下に水シミがあった場合はここを疑ってみましょう。
クーラントの減少はオーバーヒートの原因となることがあります。
タンクを交換することで対策が可能です。

4. エアオイルセパレーターの故障
このセパレーターは冷却水を使ってオイルとガスの分離効率をアップさせているらしいです。
エアオイルセパレーターが故障すると内部や外部に冷却水漏れが発生したり、排気ガスから大量の白煙が出たりします。
通常は交換による修理が可能ですが、先程のエキスパンションタンクと比較すると交換の難易度は少し高くなります。

5. ウォーターポンプの故障
ウォーターポンプも故障しやすい部品で、これがオーバーヒートの原因となることがあります。
ウォーターポンプが故障すると下回りから冷却水が漏れてきます。
参考:https://garagej.net/archives/12918094.html

6. イグニッションコイルの故障
経年劣化によりイグニッションコイルが故障し、エンジンの失火や出力低下につながることがあります。これも定期的な点検が重要です。
エンジンチェックランプが点灯するので、診断機診断によりシリンダーの失火を示すP0301などのコードの表示で発見できることが多いようです。
基本的な工具を用いたDIYでの交換もできます。

7. エンジン始動時のクランキングの遅さ
バッテリーやスターターモーター、オルタネーターの問題でエンジン始動時にクランキングが遅くなることがあります。温間始動時にはさらに顕著になります。
バッテリーなどが良好な状態であればオルタネーター/スターターバッテリーの複合ケーブルアセンブリの劣化が疑われます。交換作業は比較的簡単であるようです。

これらの問題点は、996オーナーが信頼性とパフォーマンスを維持するために日ごろからのメンテナンスと点検の重要性を示しています。

997前期 (2004–2008)

ポルシェ997.1はエンジンや足回り、電装系の問題が見られます。

1. インタミ問題(IMSベアリングの故障)
996ほど頻繁ではありませんが、初期の997.1モデルでもIMS(インターミディエイトシャフト)ベアリングの問題が生じることがあります。放置するとエンジンに重大なダメージを与える可能性があります。

2. 6番シリンダー問題(シリンダー摩耗、ボアスコアリング)
996同様です。3.8LエンジンのカレラSで発生しやすいとの報告もあります。

3. サスペンションの減衰調整(PASM)
997.1から設定のあるPASMですが、メーターに 障害メッセージが表示されることがあり、スポーツモードがキャンセルされたりします。
年数が経過したモデルではサスペンションスプリングの破損やPASMダンパーからのオイル漏れが報告されています。ハンドリング性能の低下につながりますので、早めの対処が必要です。
PASMが故障するとハードなサス設定のままで固定されてしまうこともあるので乗り心地も悪化します。

4. イグニッションコイルの故障
996同様です。エンジンの失火を引き起こす可能性がありますが、交換費用は比較的安価です。

5. オルタネーターケーブルの不具合
初期モデルではオルタネーターケーブルに問題があり、バッテリー寿命の低下や電力アクセサリーの弱化が発生することがあります。

6. エアオイルセパレーターの故障
996同様です。排気ガスから大量のオイルが排出される原因となります。

7. インテリアの問題
エアコンスイッチやセンターコンソールの塗装が劣化したり、エアコン吹き出し口のフォームも経年劣化で縮むことがあります。

8. ドアハンドルの不具合
室内側のドアハンドルがグラつきやガタつきが出るという報告があります。
ガタつきが出ても機能に問題はありませんが、ドアを開ける前のウインドウを下げる予備動作が行われた状態になりウインドウとルーフの間に隙間ができてしまいます。
この状態で雨が降れば車内は濡れてしまいます。
修理費用は比較的安価で、DIYで交換を行う人もいます。

9. PASMとPSEの相互作用
スポーツクロノ、PASM、PSE(ポルシェスポーツエグゾースト)を装備した車両では、これらのシステムを個別に制御できなくなる場合があります。

997後期 (2009–2012)

997.2は比較的信頼性が高いモデルとされていますが、以下の点に注意が必要です。

1. DFIエンジンのカーボン蓄積
997.2から導入された直噴ガソリンエンジン(DFI)は効率が高いものの、インテークバルブやポートにカーボンが蓄積しやすいという問題があります。定期的なカーボンクリーニングや添加剤の使用が推奨されています。

2. 電気系統
PCMシステムの誤作動や起動不良が報告されております。定期的なソフトウェアアップデートやバッテリーメンテナンスが必要です。

3. PDK
PDKトランスミッションは非常に先進的で効率が高いですが、動作の不安定や異音、シフトの問題が報告されています。定期的なフルード交換とソフトウェアのアップデートがトラブルの予防に役立ちます。
PDKオイル(とオイルパン)の交換で改善される可能性もあります。一部修理もできますが、それでも改善されない場合はPDKそのものにダメージを持っている場合があります。交換が必要も視野に入ってきますがかなり高額です。
まだ購入前の方は変にギクシャク感のでていないPDKを持つ997.2を選びましょう。

4. ベルトテンショナーの問題
ベルトテンショナーが正常に働かず、異音が発生したりベルトが滑ることがあります。定期的な点検と交換が重要です。

5. 冷却系の問題
ラジエーターやホース、ウォーターポンプの老朽化や劣化が報告されています。冷却液の定期的な点検と交換が必要です。

6. ドアハンドルの不具合
997前期と同様の不具合が起こる場合があります。

991前期 (2011–2015)

991.1は洗練されたデザインと高性能を持つ一方で、いくつかの注意すべきトラブルが報告されています。

1. PDK
997後期型と同様です。997後期よりもさらに滑らかになった変速が魅力のPDKですが、まれに変速ショックや遅延が発生することがあります。
ソフトウェアのアップデートがある場合はそれを実施することで改善される可能性があります。

2. PADM故障
スポーツクロノ搭載車にはPADM(電子制御エンジンマウント)が搭載されます。
それなりの割合で故障が発生することが知られており、左右のエンジンマウント片側30万円、合計60万円ほどの交換費用がかかってきます。
電子制御のマウントから通常のマウントに変えることも可能なので一度壊れたらそちらに変えてしまってもいいかもしれません。

3. リアスポイラーの動作不良
リアスポイラーの動作不良が報告されており、うまく稼働しなくなるようです。

まとめ

ポルシェ911は996から991へと世代を経るたびに弱点が克服されてきました。

どの世代にも修理費が大きくなってしまう注意が必要な故障はありますが、ある程度の予測と予防はできます。

気をつけながら運転・維持をしていけば重大な故障の発生は回避できる可能性があります。

これからポルシェ911に乗ってみたいと思われる方はまずどんなトラブルがあるかを知っていただくことからはじめていただければと思います。

では。

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