フジシマです。年収300万円でポルシェに乗り、オイル交換をしようとしています。
今回はポルシェ911カレラ、997後期型のオイル交換の作業編になります。
997後期型のエンジンオイル交換を自分でしてみたい方の参考になれば幸いです。
必要な道具については前回の準備編で取り上げましたのでそちらをご覧ください。
作業を行う際は自己責任でお願いします。
目次が長いですが作業手順の一覧も兼ねてます。
クルマをスロープに乗せる
スロープにクルマを乗せます。乗せ方によっては命に関わりますので安全・確実にクルマを乗せましょう。
スロープを後輪に接触させて設置し、そのままスロープに乗り上げます。
基本的にはクルマが後退する方向にスロープを置いておき、そのまま後退してスロープに乗り上げる、というやり方で良いと思います。
逆に後輪の前側にスロープを置いておき前進しながら乗り上げるという方法もあります。
作業スペースを考えて作業しやすくなる方法、周囲に迷惑のかかりにくい方法でスロープに乗せてください。
クルマがスロープに乗ったらエンジンを切ります。そして、必ずハンドブレーキを引きましょう。車体の下に潜っての作業なのでクルマがスロープから降りるようなことが起これば命に関わります。
また、クルマのタイヤやボディを軽く揺すったり、スロープを蹴ったりしてみて、簡単にはクルマがスロープから落ちないことを確認しましょう。これも安全作業のためです。
この確認を行い、安定的な作業環境を確保していることを確認してください。
作業環境に関して少しでも不安がある場合は作業を中止してください。
作業場の準備をする
掃除や後片付けを楽にするために作業前に準備をします。
車をスロープに乗せたらエンジン周辺や車体周辺の床に新聞紙を敷いておきます。
オイルはこぼれるものなので作業場の床が汚れないように敷きます。この時に新聞紙をクシャクシャにしてから敷くと多少のオイルがこぼれてもオイルが床まで到達しにくくなるのでおすすめです。
オイルフィラーキャップを緩める
まずは、オイルを「入れる側」のキャップ(オイルフィラーキャップ)を緩めます。
997カレラ後期型の場合はエンジンベイの左側にオイルフィラーキャップがあります。お馴染みのオイルのマークがあるのでそれが目印。

なぜオイルを抜いてもいないのにオイルを入れる側のフィラーキャップを外すのかというと、オイルを抜いた後にフィラーキャップが開けられなくてオイルが入れられなくなることを避けるためです。
オイルフィラーキャップは前回のオイル交換時に変な締め方をしたりすると開かなくなっている可能性があります。
不思議なことに適切な力で手で締めても大抵次に交換するまでは固く締まっていることがほとんどですので力が少なかったり、ご自身の体調などによっては開けられない可能性もなきにしもあらずです。
キャップが開かなくなる・開けられなく可能性をオイルを抜く前に確認しておくことで万が一開かない場合にはそのままお店に自走でクルマを持ち込むことが可能です。
オイルを抜いたらクルマは走れなくなりますのでオイルを抜く前にオイルフィラーキャップが外れるかを必ず確認しましょう。
オイルを排出する
さあ、いよいよオイルを抜いていきます。緊張の瞬間です。
普通のクルマの場合、エンジンオイルはオイルパンというオイルを貯めておく場所を介してオイルが循環・供給されていきます。
エンジンオイルを交換する行為は通常はオイルパンに貯められているオイルを抜きとり、抜き取った分だけを入れる行為をいいます。
まずはオイルパンを探しましょう。
911はリアエンジンなのでリアにオイルパンがあります。997後期型の場合はシルバーの箱のようなものが車体の真ん中、バンパーから数十センチ進んだところ、後輪車軸のすぐ後ろにあります。
そして、オイルを排出するオイルドレインプラグを探します。
オイルドレインプラグは車体後方から見て、オイルパンの前方の端、左側にややオフセットされている位置に存在します。

似た穴もあるので初めのうちはどれがドレインプラグか分からないかもしれませんが落ち着いて探せば見つかります。六角の工具を当ててみてピッタリハマればそれがドレインプラグです。
オイル受けをドレインプラグの下に置いておきます。
オイル受けをセットしたらオイルドレインプラグを緩めます。
スピンナーハンドルに六角のソケットを取り付けておきます。それを使ってオイルドレインプラグを緩める方向に回していきます。緩める方向というのは反時計回りのことです。ネジと同じですね。
ここでは工具は緩めるためだけに使うようにしておきます。初めのプラグの固いところを工具で回したらあとは手で回していきます。
手で緩めていくとオイルが滲んできますが焦らずに作業します。そして最後まで回し切るとオイルがドッと出てきます。
オイル受けにオイルが落ちていることを確認して抜け切るまで放置します。
ドレインプラグが外れる時はオイルに押し流されるように外れるのでプラグを捕まえるのが難しいです。
プラグを捕まえられなかったらオイル受けから探すことになります。
私はポリタンク型のオイル受けを使っていたのでポリタンクの中にドレインプラグが入り込んでしまい地獄を見ました。替えのドレインプラグを用意しておけばオイル受けにプラグが落下してもとりあえず作業が継続出来るので用意しておいた方がいいと思います。
オイルフィルターカバーを外す
オイルが抜けるまでには時間がかかるのでその間にオイルフィルターを交換します。
997カレラ後期型はエンジンベイの右側にオイルフィルターのカバーがあります。黒くて丸いものがあるので分かりやすいです。

フィルターカバーに36mmのレンチソケット+スピンナーハンドルをはめ、反時計回りに回し緩めていきます。
オイルドレインプラグの時と同様に、手では回せない固いところをスピンナーハンドルで緩めます。
固くなくなったらラチェットレンチ+36mmソケットに工具を替え効率よく外していきましょう。工具がなければ手回しで大丈夫。
この時、オイルフィルターカバーが外れる時にオイルフィルターが入っているハウジングと緩めたカバーの間からオイルが滲み出てくる場合があります。
カバーの手前側にペーパータオル等を敷いておくことでエンジンルームにオイルが垂れることを最小限にしましょう。
オイルフィルターを外す
カバーを外したら中にろ紙が入っているのが見えます。そのろ紙を回したり引っ張ったりしながら外していきます。
ろ紙からはオイルが垂れるので新聞紙やペーパータオルなどの仮置き場をあらかじめ用意しておくと何かと便利で良いです。
オイルフィルターを取り付ける
新品のオイルフィルターをオイルフィルターハウジングに差し込みます。
パイナップルの輪切りみたいな形状のフィルターですが、新品状態では真ん中の穴が狭くなっているのでハウジングに差し込むときは力を入れたり、回したりして穴を少し広げていくイメージで取り付けます。
奥までしっかり差し込めればOKです。
オイルフィルターカバーのガスケットを交換する
外したオイルフィルターカバーをよく見るとゴム製のガスケットがついています。
フィルターを交換するときは忘れずに古いものから新しいものに毎回交換しましょう。
ガスケットをマイナスドライバーなど、細長いものをフィルターカバーと古いガスケットの間に差し込みながらめくり上げるようにして外していきます。
外れたら新品のガスケットに替えます。新品のガスケットはオイルフィルターとセットになっています。
新しいガスケットをカバーにはめるときはガスケット自体にオイルを塗ってからはめて行きます。
塗るのは廃油でも新油でもOKです。私は廃油を塗りました。
ガスケットはゴム製ですが伸縮性があまり無いので少しはめるのに手こずるかも知れません。
必要で有ればマイナスドライバーなどを使い、めくり上げるようにしてうまくはめていきます。
古いガスケットと同じ位置まではまったらOKです。
オイルフィルターカバーを取り付ける
新しいガスケットを取り付けたオイルフィルターカバーをオイルフィルターハウジングに取り付けます。
フィルターハウジングに対してフィルターカバーを垂直に取り付けていきます。
気を抜いているとカバーは取り付ける時に傾いた状態で取り付けられてしまいますので気をつけます。
カバーの方向に気を配りながらまずは工具を使わずに手で締まるところまで締めます。
そのあとはラチェットレンチ+36mmソケットで無理のない力で締まるところまで締めていきます。
最後にトルクレンチ+36mmソケットで規定トルクで締めていきます。オイルフィルターカバーの規定トルクは25Nmです。
トルクレンチの使い方
トルクレンチを規定トルクにセットしたら持ち手にあるラインを中指握るように持ちます。
その状態で力を入れて締めていき、カチンと1回なれば規定トルクで締め付け完了となります。
何回もカチンカチンと鳴らす必要はありません(鳴らしても多分大丈夫)。
オイルドレインプラグを取り付ける
オイルドレインプラグを手ではめていきます。
プラグ単体ではうまく差し込むのは難しいので六角ソケットにプラグをはめた状態で手で回していきます。
そのまま手で回るところまで回していきます。
手で回らなくったらトルクレンチの出番です。
六角ソケットをトルクレンチにはめ、規定トルクで締め付けていきます。
オイルドレインプラグの締め付けトルクは50Nmです。
新品のエンジンオイルを入れる
オイルドレインプラグが閉まっていることを確認してからオイルを入れます。
オイルフィルター込みの交換では約8ℓのオイルが必要です。まずは7.5ℓほど入れます。
オイルジョッキの目盛りを目安に入れていきます。2回〜3回に分けて入れても大丈夫です。
一度入れてみたら車体下部を見てオイルが漏れていないかを念のために確認します。
約7.5ℓ分入れたらオイルフィラーキャップをしっかり閉めます。
メーターディスプレイでオイル量をチェックする
997後期型以降はオイルの量は直接目視できず、その量はメーターディスプレイに表示されます。
オイル量を測定するにはエンジンオイルが暖まっていることが必要なのでエンジンを始動させます。
オイル量を確かめるにはウインカーレバーの下にあるもう一つのレバーを操作します。
オイルの項目があるのでそこまで操作します。レバーの上下で「項目の変更」、レバーの押し込みで「決定」です。
オイルの測定を行うと自動で計測されていきます。

暖気が不十分の場合は数分、時間を置いてからもう一度レバーの操作を行います。
再度レバーの操作をしないと計測はしてくれないので気をつけましょう。私は暖気されれば自動で再計測してくれるものと思い10分くらい無駄にアイドリングをしてました。
測定が終わると3つの目盛りが表示され、どこにオイルの液面があるかが表示されます。
真ん中に有ればベストですがおそらく3つの目盛りのうちの下の目盛りが白く表示されていると思います。
その場合はエンジンを切り、もう少しオイルを足していきます。
私の主観ですが0.2ℓくらいずつ足すのががおすすめです。
私は残りの0.5ℓをほとんど全て入れたのですが上の目盛りまで入ってしまいました。でも問題はないはず。
入れ過ぎると少量のオイルを後から抜くのは困難なので気を付けましょう。
オイルフィラーキャップを閉め、オイル量を再測定し、真ん中の目盛りが白く表示されていたらOKです。
あとは後片付けをして終了です!お疲れ様でした。
廃油について
オイル交換をした際にどうしても出るのが古いオイル。すなわち「廃油」です。
この廃油をどう処理するかは悩みの種です。
廃油は適切な処理をしないと環境汚染の原因になってしまいます。
少々面倒でもきちんと廃棄をしましょう。
廃油の廃棄の方法としては2種類あります。
- 自分で可燃ゴミとして廃棄する
- 業者に持ち込み廃油を回収してもらう
自分で可燃ゴミとして廃棄する
こちらは廃油を布や紙などに染み込ませ、流出しない形にして燃えるゴミとして出してしまう方法です。
廃油をポイパックと呼ばれる商品などに染み込ませて可燃ゴミとして処理します。
メリットはいつものゴミ置き場にそのまま捨てられることです。ただしお住まいの自治体によっては認められていない場合もありうるのでご注意ください。
反対にデメリットは1個200円〜のポイパックを2つ買う手間と費用がかかることです。
ポイパックは通常サイズでは4.5ℓほどの容量の物が多いので約8ℓの廃油がでる911では2つのポイパックが必要になります。
廃油をポリタンクなどに入れて業者に持ち込む
私個人としてはこちらの方法をおすすめしたいです。ただし後述のデメリットもあるのでそれが心配であれば可燃ゴミとしての処理をおすすめします。
この方法のメリットはポイパックなどを買う手間の費用が省ける事です。
また、廃油受けをポリタンクを兼ねた形状の物にすればドレインプラグから直接廃油をポリタンクに入れることも可能なので手間もそれほどかかりません。
むしろオイルを染み込ませたり、袋をタイラップで結んだりしなくてはいけないポイパックよりも簡単かもしれません。
業者に持ち込む場合のデメリットは運搬中に廃油が溢れる危険があることです。
キャップをキツく締めても漏れる場合があるらしいので運搬中も油断はできません。
私はセカンドカーのトランクにブルーシートを敷き、ポリタンクをビニール袋に二重に入れた上で運搬しました。
私が使用したオイル受け兼ポリタンクは911での廃油の運搬は困難でした。物理的には可能ですが廃油がこぼれるリスクを考えるとやりたくありませんでした。
こぼれるリスクさえ解決出来ればゴミも出ないし毎回ポイパックを用意しなくていいので私はこちらが楽だと考えています。
997.2のオイル交換まとめ
作業編、いかがでしたでしょうか。
私のブログ記事史上最大の文章量になりましたので読む方も疲れてしまうと思います。
繰り返しますが作業は自己の責任において安全第一で行ってください。
作業環境や体調など何かしらに異常を感じたら直ちに作業は中止してください。
もしできなくても、自走さえできればお店に持っていけば安心安全の作業を行ってくれます。
ただ今回は、「自分で911の面倒を見る」という楽しみ方もある事を伝えたかったのでブログのネタにしてみました。
「自分にも出来そう」だと思われた方はぜひチャレンジしてみてください!
では。
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